ブックタイトル第29回 国民文化祭・あきた2014「公式ガイドブック」
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第29回 国民文化祭・あきた2014「公式ガイドブック」
元爆 ちなみに、この場所は初めてですか?藤本 はい、初めて来ました。元爆 僕は近くに母方の実家(八幡神社)があって、子どもの頃は、よくこの周りで遊んでいたんですよ。藤本 へぇ~そうなんですね。元爆 ここは金谷勇助さんという人が昭和の初め頃に建てたもので、4、5年前までは料亭として使われていたんです。ちょっと上を見てください。藤本 これはまた、すごい木を使っていますね。元爆 でしょう。この町は天然秋田スギの産地として、古くから製材、建具といった木にまつわる産業が盛んだったんです。想像がつかないかもしれませんが、“東洋一の木都”と呼ばれるくらいだったんですよ。そんな当時の繁栄ぶりを今に伝える貴重な存在が、この金勇。この部屋の天井には9メートルもある板が5 枚も使われていますが、2 階の大広間の天井にも、畳一畳分の天板が無数に使われていたりして、とてもぜいたくな造りになっているんです。故・大平正芳元首相も官房長官時代に訪れています。藤本 由緒ある建物なんですね。元爆 国登録有形文化財になっています。。だけど秋田県内に住む人でさえ、この場所のことをあまり知らない。藤本 そこですよね。こういう一度見ておいて損はないところを、もっと言っていかないと。元爆 ここの設計の話とかを聞くと、都会ではあり得ない思想で面白いですよ。藤本 興味あります。元爆 さっき見てもらった天井の板、この建物はあれが採れたからということで、木に合わせて設計されたんです。藤本 すごい! 何というか、豊かな発想ですよね。普通は設計ありきで、そこに合わせて建材が加工される。元爆 すごい木が採れたから、その木をそのまま使ってしまおうと。素材を活かそうという思想や文化が、秋田にはまだまだあります。藤本 ぜひ教えてください。取材してみたいです。元爆 藤本さんはこれまでの秋田めぐりの中で、一番印象に残っているものは何ですか?藤本 秋田の人たちが話す言葉、秋田弁ですね。あったかくて、優しくて、どこか懐かしくて。とても素敵な方言だと思います。だけど残念ながら、秋田以外の場所で、この素敵な方言を耳にすることはほとんどない。元爆 藤本さんもそうだし、関西の人は、地元を離れても故郷の言葉で話し続ける人が多いですよね。藤本 関西弁は、まさに関西芸人をフィーチャーしてくれたテレビのおかげで、共通語のように周りが理解してくれますから。外で秋田弁を使うのは、やはり難しいですか?元爆 コミュニケーションが成立しない気がします。ただ、テレビに関わっている者としての立場で言わせてもらうと、たとえば今、秋田弁で漫才をやる芸人が出てきたらオンリーワンになれる気もするんですけどね。そして関西弁がそうだったように、秋田弁がテレビでフィーチャーされれば、都会に出ても地元の言葉でしゃべる人が増えるかもしれない。藤本 結局のところ、文化ってそうやって守られ広がっていくんですよね。誰かが発信者になって伝えなければならない。秋田弁に関して言えば、最初は単語でもいいと思うんです。標準語で言い換えると、何となくニュアンスの違う言葉ってありません?元爆 あるある。世代に関係なく皆が使う「さいっ」とかね。標準語にすると「しまった!」になるんだろうけど、ちょっと違う。失敗したときだけじゃなく、自分でも予想外でびっくりしたときにも使うから。藤本 僕はありのままの自分たちと、その暮らしのそばにあるものすべてが文化だと思っているから、秋田と秋田のみなさんには、堂々と“素”でいてほしいと思うんです。元爆 だけどそれができない県民性。藤本 アピールが下手だと言われてますよね。そこで、この国民文化祭です。元爆 全国からたくさんの人が来る。藤本 そうです。先ほどの方言も含めて“文化の宝庫”といっても過言ではない秋田での国文祭は、よそで開催されるそれとはちょっと違うムーブメントを起こせる気がするんですけど、どう思います?第29回国民文化祭・あきた2014伝統と文化の花咲く、未来バナシ。物質的な豊かさよりも、精神的な豊かさを求める方向へ時代がシフトしていることも追い風に。(藤本)04