ブックタイトル第29回 国民文化祭・あきた2014プレガイド 2013年10月発行
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第29回 国民文化祭・あきた2014プレガイド 2013年10月発行
増田・美郷ますだ・みさと六郷湧水群/ろくごうゆうすいぐん奥羽山脈を水源とする丸子川の氾濫にはじまり、長い年月をかけて形成された扇状地に広がる六郷地域には、アイヌ語の「ルココッツイ(清い水たまりのある所)」がなまって地名になったという説が残るほど、町のいたる所に清水が湧き出ている。周辺住民の生活に密着した清水も多く、町による清掃活動も積極的に行われている。名水百選(環境省選定)。増田はフルーツの名産地。古くからリンゴの栽培が盛んで、約300 件の農家が500 ヘクタールほどの農園でリンゴの栽培を行っている。近年は他のフルーツの栽培にも力を入れており、梨、サクランボ、桃など、味自慢のフルーツや加工品が多数出荷されている。 ラトビアから留学のため秋田に引っ越して、もうすぐ5 カ月。せっかく自分の生まれ育った場所と異なる文化に触れる機会ができたのに、ホームエリアの外へ出たのは片手で数えられるほど。もっと色々な場所に訪れて、自分の視野を広げないと! そう強く思った私は、免許を持つクラスメイトに頼み込んで、車を南へ走らせてもらうことにした。 最初に訪れた場所は、水の郷として知られる美郷町六郷。この地に無数に存在する湧き水は、今でも生活用水として利用されているらしい。車を降りて少し歩くと、民家の池といった風情の「御台所清水」に着いた。実際、すぐそばに人の住む家もある。クラスメイトがいなかったら、足を踏み入れるのに躊躇していたかもしれない、とふと思う。 御台所清水は、その昔、殿様が狩りでこの地を訪れた際、調理にこの水を使ったことからその名が付けられたそうだ。飲めると聞いて、殿様が飲んだ水を私もいただく。ラトビア出身の私にとって、地中から出ている水を飲むことは、もちろん生まれて初めての体験。ドキドキしながら口に含むと、『土の味がしたらどうしよう……』といった不安は一気に吹き飛んだ。お世辞抜きに、まろやかで美味しい!この日はペットボトルに家の水を入れてきていたのだけど、私はすぐそれを御台所清水の水と入れ替えた。こんなに美味しいと最初から分かっていたら、もっと大きな容器を準備しておいたのに! 悔いは残ったけれど、またここに来る理由ができたと自分に言い聞かせ、清水のそばを離れることに。入れ替わりで、長い棒を持った作業着の男性が湧き水のそばに降りていく。何をするのか様子をうかがっていると、その人は慣れた手つきで水底の掃除を始めた。町の文化を守る姿勢に、ただただ感心させられる。美しい水場は、こうして人の手によって守られているからこそ今日も輝いて映るのだろう。私が秋田で出会った、五感に訴えるモノとコト。[旅人]= イエバ・ザルタネ Ieva Zaltane(国際教養大生)美郷町横手市06