ブックタイトル第29回 国民文化祭・あきた2014プレガイド 2013年10月発行

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第29回 国民文化祭・あきた2014プレガイド 2013年10月発行

鹿角・小坂 大学教員として秋田に赴任してきた当初から、この地に根付いた様々な文化を見たいという思いに駆られ、週末ごと車を走らせてきた僕も、鹿角・小坂方面だけは未だ馴染みの薄い地域。仕事で数回出向いたことはあるが、僕の住む秋田市とは高速道路がつながっておらず、移動は片道2 ?3 時間の峠越えが最短ルート。1 泊2 日の旅であれば全く問題はないのだけど、同一県内での移動に関しては、できれば日帰りの行程を組みたいというおかしな心理が働く。それがそもそもの間違い。秋田は広い。県の玄関口である秋田市から車で県境付近へ向かうツアーは、宿泊前提で計画するに越したことはない。 鹿角・小坂エリアは、前々からじっくり巡ってみたいとは思っていた。その理由はこの土地が、秋田県であって秋田県でないような、他の文化の匂いを強く感じさせるため。実際、同エリアは江戸時代には南部藩の支配下にあって、人々が話す方言も秋田弁の印象とは異なり、岩手県内陸北部の方言の影響を感じさせる。 日本屈指の鉱山で発展してきた歴史をもつ町には、当時の栄華を偲ばせる文化施設が数多く残されている。その中のひとつ、康楽館は明治43 年に鉱員の厚生施設として誕生した建物。外観はモダンな洋風建築、館内は一転して純和風建築という全国的にも珍しい和洋折衷造りの木造芝居小屋は、桟敷や花道、役者をせり上げる切穴(すっぽん)、直径9.73m の回り舞台といった日本古来の伝統を色濃く受け継ぎ、生きた国重要文化財として今なお公僕はこれからも幾度となく、鹿角・小坂を訪れるだろう。[旅人]= 芝山昌也(KAMIKOANIプロジェクト・ディレクター)かづの・こさか芝山昌也/しばやままさや兵庫県出身。金沢美術工芸大学美術学科彫刻専攻卒。大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレをはじめ、アートイベントへの出展実績多数。2006 年より秋田公立美術工芸短期大学工芸美術学科で教鞭を執る。現在秋田公立美術大学・准教授。文化を旅する特集小坂町鹿角市04